犬アトピー性皮膚炎
痒みを起こす皮膚病です。根治が難しく、さらに、若齢で発症しやすいため治療は長期にわたり、ワンちゃん・飼い主様を悩ませる皮膚病です。
原因
1)先天的な皮膚のバリア機能の低下
2)アレルギー体質
3)環境中のアレルゲン(ハウスダストや花粉など)の存在
この3つの要因が重なると発症し、痒みが生じます。
さらに、感染や寄生虫などの憎悪因子が加わると症状が悪化します。
発症
多くは3歳以下で初めて発症します。
柴犬やウェスト・ハイランド・ホワイト・テリアなどに好発します。
季節により症状が悪化することがあります。
症状
痒がります。引っ掻く、こする、舐める、噛むなどの症状を示し、脱毛、皮膚の黒ずみ、皮膚に厚みがでるなどが認められます。顔や脇、お腹、指の間に認められることが多いです。
診断
痒みを起こす他の皮膚病を除外し、症状や各種の検査結果(アレルギー検査など)などから、総合的に 判断します。感染症などの他の皮膚病を併発している場合も多くあります。また、食物アレルギーの有無も確認します。
治療法
内服薬や外用薬により皮膚の炎症を抑えます。
皮膚の状態にあったスキンケア(シャンプーや保湿剤など)も重要です。適切なシャンプーを使用することで、弱くなった皮膚のバリア機能を回復させ、こまめなシャンプーにより、体表に着いたアレルゲン量を減らします。
また、飼育環境を清潔に保ち、環境中のアレルゲン量を減らします。特に、布団や畳、カーペット、エアコンなどはアレルゲンとなりやすいダニやカビが生えやすいため、換気・清掃を行います。防ダニ布団やフローリングへの変更、空気清浄機の導入なども有効です。
療法食やサプリメント(脂肪酸製剤)などを併用する場合もあります。
予後
根治は難しく、生涯にわたり何らかの治療を行っていく必要があります。しかし、自宅でのケアや適切な投薬で、薬の副作用を最小限に抑えながら生活の質を保つことができます。
クレッセ動物病院 獣医師 永嶋