去勢手術とは
今月は、ワンちゃんの去勢手術についてお話します。
精巣は左右に1つずつ(計2つ)、陰嚢とよばれる袋の中にあります。
精巣を全身麻酔下で摘出し、生殖能力を不可能にする事を去勢手術といいます。
男の子の場合は大体生後7ヶ月〜12ヶ月で性成熟に達し発情行動が認められる様になります。この時期にマーキングなど問題行動がみられるようになります。
☆去勢手術のメリット☆
去勢手術のメリットとして以下の点があげられます
●マーキングなどの問題行動を軽減できます。特に猫は外に出たがる性分を抑制できます。それにより、逃亡、交通事故、ケンカ、伝染病の予防になります。
●攻撃性や権勢欲(相手より上位に立とうとする欲望)の軽減ができます。
特に犬はしつけがし易くなります。
●将来の病気の予防につながります。精巣腫瘍、前立腺肥大、会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫など。(主に犬)
精巣腫瘍
精巣腫瘍は、精巣が大きくなることで見つかり、発症年齢は10歳からが最も多いです。特に問題なのは潜在精巣のワンちゃんで、発生率は正常な子の約14倍といわれています。
前立腺疾患
男の子は、お腹の中、膀胱のすぐ後ろに『前立腺』という小さな組織があり若いときは小さな組織ですが、去勢手術をしていないとホルモンの影響で歳を重ねるごとに少しずつ大きくなります。前立腺が大きくなると、便秘・下痢・しぶり・排尿困難、また肥大した前立腺に細菌感染を起こすと敗血症やショックになることもあります。
会陰ヘルニア
会陰ヘルニアとは肛門周囲の筋肉が緩くなって隙間ができることをいいます。 その影響で便が出なくなるという症状がでます。去勢手術をしていない7〜9歳の男の子に圧倒的に多く、前立腺肥大を併発していることが多いとされています。会陰ヘルニアも男性ホルモンが原因とされ、早期に去勢手術する事で予防効果が期待できます。
肛門周囲腺腫
肛門付近には肛門周囲腺と呼ばれる分泌腺があり主に皮脂を分泌しています。この腺が腫瘍となることをいいます。腫瘍が出来た場合は小さい内に摘出手術をします。大きくなると肛門を閉める筋肉を傷つけてしまう可能性が有るからです。また肛門周囲腺腫は男性ホルモンが関与しているため同時に去勢手術を行います。再発するリスクが下がるためです。
様々な病気を防げる去勢手術。病気になったとき1番苦しむのはワンちゃんです。早めに去勢手術を受けましょう。
クレッセ動物病院 看護師 原田